最近、ホテルなどで増えてきたコンシエルジュ。お客さまのあらゆる要望に応対する、言わば「よろず相談承り係」である。あらゆる要望に応えるというからには、それがどんな内容であろうと、絶対に「NO」を言わない。それがコンシエルジュのプライドなのだ。
以前、大阪の有名ホテルで「伝説のコンシエルジュ」と呼ばれたMさんは、ある日、お客さまが空飛ぶジャンボジェット機を見て「あの飛行機が買いたいなあ」とつぶやくのを耳にした。もちろん、ホテルの売店でジャンボジェットは売っていない。しかし彼女は、少しも動じることなく、こう言ったという。
「素敵ですね。よろしければ航空会社をお調べしましょうか?」と。そして航空機メーカーを調べ、お客さまに引き合わすところまでセッティングしたのだ。恐るべき行動力である。実際には「ジャンボの駐機場がない」という理由でお買い上げにはならなかった。
このエピソードは、私たちにとても重要な二つのことを教えてくれる。
第一に、コンシエルジュのすごさ。「ご冗談でしょ」と笑い飛ばすのは簡単だ。しかしどんな難題もNOと言わず、絶対に実現しようと立ち向かう。プロのおもてなしとはそういうものだ。
第二に、コンシエルジュの恐ろしさ。何があっても彼女たちに冗談を言ってはならない。 |