トップお役立ち情報 > 明日は明日の職がある
第6回グルメレポーター
 テレビをつければ、昼夜関係なしでお馴染みのタレントが騒ぎまくる毎日。こんなモノ、何が面白いんだと思いつつ、どこからか爆笑が聞こえるので周囲を見渡すと、それが自分の笑い声だと気づいたりする筆者である。

 さて、このテレビタレントという職業だが、人気はまさに浮き沈みの激しい「水物」。浮いている人はいい。沈んでしまった人も諦めがつく。問題は、水面ぎりぎりで踏ん張っている数多のタレントたちである。浮きもせず、沈みもしない。でも、このままではオーラが水に溶け出して、轟沈することは必至。

 そんな芸人が活路を見出すのが「旅番組」である。あれは、実を言うと旅の風情を紹介する番組ではない。旅番組の最大の目的とは、盛りを過ぎた芸能人が、旅先で出会った一般人と触れ合うことで、失われつつあるオーラを再び際立たせることなのだ。いくら何でも、旅先の一般人に負けることはないのだから。

 この旅番組で絶対に欠かせないのが、豪華料理とグルメレポートである。どんなお店のどんな料理でさえ、レポーターにかかっては「至福の料理」となる。近所で一度も噂になったことのないメニューさえ、まさに重箱の隅をつつくようにほめまくる。これが旅番組の最大の見せ場である。そして、このグルメレポートこそが、沈みかけた芸能人たちに投げられた「浮き輪」である。というより、武器でさえある。グルメレポートさえ上手なら、その後も芸能界で(文字通り)食うに困ることはない。グルメだけに。うまいねどうも。

 とはいえ、グルメレポートはそれほど難しくはない。やろうと思えば、今すぐにでもできる。練習は簡単。たとえば明日、ランチの時間にいつもの喫茶店に行ったとする。一口食べたとたん、大きな声で叫ぶのだ。

「おいし〜い!」

 恥ずかしがってはいけない。周囲の目なんか関係ない。ついでに言えば、味だってどうでもいい。問題は(そこにテレビカメラがあるとして)いかに美味しいかを伝えるか。そのためには、少しくらい大げさになっても構わない。テレビを通して見ると、大げさ過ぎるくらいの話し方が、ちょうど普通くらいの会話に見えるのだからもし何かのきっかけでアナタがタレントとなり、何のきっかけもなく人気が凋落し、グルメレポーターの仕事がきたら覚えておくといいだろう。

 実は先日、筆者はたまたまお笑いグループ「Y」の「I」さんがグルメレポートをしている現場に居合わせたのだ。最近、テレビで見なくなったと思ったら、こんな仕事をしていたのね。しかしIさん、基本に忠実になろうとするあまり、少し力が入りすぎていた。もう店外に響けとばかりの大声で叫ぶのだ。

「ぅおいしゅ〜い!」

 うあ〜。店内の客ばかりか、店員さんまでもがドン引きしてる。いや、いくらテンションが高いのが良いとはいえ、そこまで高くしなくても。ほらほら、驚いたお客さんが、お店の外からのぞきこんでるじゃないか。

 Iさん……。果たして来年の今頃、Iさんは芸能界にいるのであろうか。

 明日は我が身という言葉もある。みなさんも、明日からでもグルメレポーターの練習に励んでいただきたいものである。


》おしごとエッセートップに戻る 》トップページへ戻る ▲ページTOPへ戻る