ツアコンの人々は、疲れていると思うのだ。
なぜかといって、そもそも彼らの多くは「旅が好き」という理由でこの仕事に入ったはずだ。
旅の楽しさとは、日常から離れた空間・時間に身を置くことで、新たな発見をし、感動することに他ならない。しかし、その大好きな旅を仕事にしてしまったら最後、旅は「日常」になってしまう。これでは、旅の純粋な楽しさを味わうことができない。だから、彼らは疲れ果てているに違いないのだ。
これでは、ツアコンになる人がいなくなってしまう。そこで、旅行会社は考えた。
「ツアコンの感動とは、お客様を感動させることによる感動なのだ」。
こう言い換えることで、ツアコンの視点を変えようとしている。しかし、ハッキリ言うが、それは詭弁だ。どこまで行っても、「旅が好き!」というパッションと重なりはしないのだから。
では、せっかく旅が好きでツアコンになったのに、彼らは二度と旅の感動を味わうことができないのであろうか。それでは、あまりにも哀れではないか!
……と、全国12万3049人(推定)のツアコンに勝手に感情移入してしまった私は、彼ら「旅のプロ」だけにオススメできる、究極の旅を思いついた。
ぜひ試していただきたい。
要するに、非日常の時間と空間に行けばよいのだ。といっても、旅のプロである。世界のどこであろうと、それは日常の延長に過ぎない。たとえそれが宇宙空間であっても。断っておくが、怪しげなクスリでインナースペース(下着を入れる引き出しじゃない)を旅するような安易な方法でもないから。
私がプロにオススメしたい旅とは、題して「社内リゾートの旅」。
方法は簡単。有給を取るのである。仲間から「どこか行くの?」と尋ねられたら、「ちょっとリゾート」とか言っておけばよろしい。
有給の当日。
あなたは、普段と同じように目覚める。しかし今日は休み。慌てる必要はない。二度寝して、再び目が覚めたらゆっくり朝食をとり、思い切りカジュアルな格好(男性はアロハ、女性はムームーが基本)で出社するのである。
あなたが出社したことに周囲の仲間は驚くが、別に構わない。あなたは普段どおりにデスクに座り、何をするかというと
何もしない。
お茶を飲んだり、マンガを読んだり、ボーッとしたり、音楽を聴いたりするだけ。上司が何か用事を言ってきたら、こう言えばいい。
「今日、有給ですから」。
電話を取り次ごうとした同僚にも
「今日、有給だから」。
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