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第13回テレホンアポインター

最近、テレホンアポインターから事務所に電話がかかってくる。私はそういう営業が嫌いなので、即座に切ることにしている。事務所に電話して「奥様はご在宅ですか?」はないだろう。少しは調べてからにしてほしい。

しかし受話器を下ろした後、反省する自分がいるのも確かなのだ。もし自分がアポインターなら、今、かなり傷つくと同時に腹を立てているに違いない。番号を控えておいて、後でイタ電をかけてやろうと思うかも知れない。私がアポインターなら、そんな「イタ電候補リスト」が増えて増えて仕方ないと思う。私は、絶対にこの仕事に向いていない。

以前、アポインターの女性に取材したことがある。私のような客を、彼女たちはどう思っているのだろう。

「最初は落ち込みましたが、自分自身が否定されているわけではありません。それに、一日に何百件もかけますから、慣れました」。

うむ。少なくともイタ電の恐れはなさそうだ。それにしても、見上げた根性である。要するに、気持をコントロールし続けることで、彼女たちは見事にストレスを克服しているのだ。これは、現代社会において必要不可欠のスキルかも知れない。どんなストレスに対しても、彼女たちは
凛としてそれを乗り越え、気高く爽やかに微笑むに違いない。「そんな大層なものか?」という疑問はさておき。

彼女たちは少々のコトで怒ったりしない。ドライブの途中に道に迷っても、パートナーをなじったりしない。誕生日を忘れられていても気にしない。せっかく変えた髪形を気づいてもらえなくても平気である。彼やご主人が浮気していても、涼しい顔で笑い飛ばす(多分)。すべては訓練された精神力による慈愛で包み込み、あまねくすべての男性を許す(はずだ)。そう考えると「彼女にした方がいいナンバー1」の職業は、テレアポの女性ではないだろうか。いや、そうに違いない。

世の中の男性は、次にテレアポの女性から電話がかかってきたら、絶対に愛想なく切ったりしてはダメだ。少しでも会話を長引かせつつ、彼女の趣味などを聞き出し、好感を持ってもらえるよう努力することオススメする。

 

ちなみに、先程のアポインターの女性は、一番イヤなお客さんは? の質問にこう答えた。

「こちらの話を聞く気もないのに、ただ話を長引かせようとする人」。

うむ。彼女たちも、暇じゃないのだ。


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