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第14回 スポーツクラブの
インストラクター

 仕事には「向き・不向き」がある。これは本人の能力や努力とは関係ない部分で、「この人はこの仕事に向いてない!」と誰もが思うケース。たとえば、頭ツルツルのスキンヘッド(早い話が「○ゲ」)の人は、増毛剤の営業に向いていない。説得力がないからだ。

 スポーツクラブのインストラクターも、それと同じだと思うのだ。お客さんは「健康になりたい」とか「ダイエットしたい」といった明確な目的を持ってクラブに来ているのに、インストラクターが不健康に太っていたり、死にそうに痩せた男だったりしたら、そこに説得力はあるだろうか。いや、ない。……と思っていた。つい先日まで。

 しかし最近、それは間違いだと気づいた。

 たとえば、とても健康的に鍛え上げられたボディを持つ、さわやかなインストラクターばかりが集まったスポーツクラブがあるとしよう。見渡す限り、しなやかで弾力のある筋肉が歩き回っている。一方、その中心で汗を流しているメタボリックな自分はどうだ。「体脂肪率と血圧なら、インストラクターに勝てるんだがなあ……」と、笑えない負け惜しみを言うしかないではないか。客に劣等感を抱かせてどうするんだ、という話だ。

 もちろん、そんなインストラクターを目標として客が頑張るという効果があるのは分かる。しかし、そんな健康さわやかムキムキ男ばかりのクラブには「癒し」がない。
 そこで私は提案したい。これからのスポーツクラブには「癒し」が必
要だ。

 想像してほしい。屈強でさわやかなインストラクターに混じって、タレントの内山クンのようなキャラクターがいたらどうだろう。

「あなた、本当にインストラクター?」

「そうなんスよ〜。意外でしょ〜?」

「なんかスポーツやってたの?」

「まさか! この体型っスからね、もう腹筋でさえできないんスよ〜」。

「あははは〜。じゃあ、オレと一緒に頑張ろう!」

「そっスか? お願いしますよ社長!」

 ……どうだ。客は心地よい優越感の中で、すっかり癒されているではないか。

 それだ。
 どれだ。

 要するに、今のスポーツクラブには、サーカスでいうピエロ的な存在が必要なのだ。ピエロがいるから、客の緊張が緩和される。また、ピエロがいるから、普通のインストラクターのさわやかさも一層きわだつ。
 提案したい。すべてのスポーツクラブは、内山クンを採用し、クラブ座付きの「インストラクター芸人」として育てるべきだ。ときどきショータイムを行い、お腹でランニングマシンを止めたり、マシンにはさまったりするのもいい。笑いは健康にも良いのだから。

 あ、誤解のないように言っておくが、このインストラクター芸人は男性に限る。女性は美しく可愛く健康的でなくてはならない。説得力の問題ではなく、私の趣味の問題として。


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