少し前から、アニメ業界では声優が大人気である。しかし世の中は、この声優ブームを快く思っている人ばかりではない。ファンクラブを発足させ、時にはコンサートに数千人を動員する声優たちを、苦々しく思っている人もいるはずだ。そして、その最たる者がキグルミの中を職場として働く人、通称「キグルマー」たちだと思うのだ。
数年前まで、声優とキグルマーの扱いはほぼ同列であった。たとえば特撮ヒーロー物で言えば、あくまでも「主」はヒーローである。ヒーローの動きに合わせてセリフをしゃべる声優も、声に合わせて動くキグルマーも、「従」の立場という意味で同格のはずだ。しかし大きく違うのは、声優は番組の外で顔を出してもOKなのに対して、キグルマーは顔を出すことが許されていないということ。
声優がバラエティ番組などで主人公の声を出すと、周囲から「同じ〜」とか「すごい〜」という歓声が上がるのに対し、キグルマーがバラエティで主人公の動きをしたところで、良くて「似てる」。悪くしたら「キグルミがないとウソっぽい」とか、下手すりゃ「夢が壊れた」なんて言われかねない。そもそも、キグルマーが呼ばれたバラエティ番組など、私は観たことがない。
しかも、声優は使い慣れた「声」と「言葉」を駆使して表現するが、キグルマーは自らの「動き」という不自由なツールだけですべての感情を表現しなくてはならない。それがどれだけの苦労であることか。そう考えると、キグルマーたちはあまりに過小評価され過ぎだと思うのだ。 |