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第21回キグルマー

少し前から、アニメ業界では声優が大人気である。しかし世の中は、この声優ブームを快く思っている人ばかりではない。ファンクラブを発足させ、時にはコンサートに数千人を動員する声優たちを、苦々しく思っている人もいるはずだ。そして、その最たる者がキグルミの中を職場として働く人、通称「キグルマー」たちだと思うのだ。

数年前まで、声優とキグルマーの扱いはほぼ同列であった。たとえば特撮ヒーロー物で言えば、あくまでも「主」はヒーローである。ヒーローの動きに合わせてセリフをしゃべる声優も、声に合わせて動くキグルマーも、「従」の立場という意味で同格のはずだ。しかし大きく違うのは、声優は番組の外で顔を出してもOKなのに対して、キグルマーは顔を出すことが許されていないということ。

声優がバラエティ番組などで主人公の声を出すと、周囲から「同じ〜」とか「すごい〜」という歓声が上がるのに対し、キグルマーがバラエティで主人公の動きをしたところで、良くて「似てる」。悪くしたら「キグルミがないとウソっぽい」とか、下手すりゃ「夢が壊れた」なんて言われかねない。そもそも、キグルマーが呼ばれたバラエティ番組など、私は観たことがない。

しかも、声優は使い慣れた「声」と「言葉」を駆使して表現するが、キグルマーは自らの「動き」という不自由なツールだけですべての感情を表現しなくてはならない。それがどれだけの苦労であることか。そう考えると、キグルマーたちはあまりに過小評価され過ぎだと思うのだ。

 

考えてもみたまえ。このままだとどうなるかを。過去、虐げられた民族が「窮鼠猫を咬む」的に大暴走した例は多い。私は、いつか訪れるであろうそんな事態を危惧しているのだ。

20XX年●月●日の東京●●●●●ランド。正午と同時に一斉蜂起したキグルマーたちは、館内の客と従業員196名を人質に取って●●●●●城を占拠する。スペース●●●●●で非常線を張った警察に、声明文が届く。要求内容は、全国のキグルマーの待遇改善。具体的には、キグルマーのコンサート開催と、政府公認のファンクラブの結成。拒否された場合は、人質にこの世のものとは思えない派手なペインティングを施す。

これに呼応して大阪のユニ●●●●スタ●●●●パンをはじめ、とする全国のテーマパークでキグルマーによる同時多発テロが勃発。そして全国を巻き込んだ「キグルミの乱」がここから始まった……。

……みたいな。

だから、テーマパークに行った時には気をつけた方がいい。外からは、ミ●●ーやミ●ーが、その凍りついた笑顔の向こうでどんな表情をしているか分からないのだから。


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